ラングドック地方
モンペリエの街から西へ20km、港町セットから北へ18kmのところに位置している。標高140~180mで南東向きの緩やかな斜面。
総畑面積:12ha
総ワイン生産量:20,000~28,000本
AOC Languedoc (AOC ラングドック)
Vin de France(ヴァン・ド・フランス)
シャサン、シャルドネ、グルナッシュ・ブラン、ルーサンヌ、ロール(=ヴェルメンティーノ)、クレレット、アラモン・グリ。
※シャサンとは、リスタン(=パロミノ)×シャルドネの交配品種。1958年に認められ、1973年から植えられるようになった。乾燥に非常に強く、シャルドネに似たアロマが特徴。
海洋性気候の影響を受ける地中海性気候。短時間に強く降る雨が春と秋に多いが、それ以外は乾燥している。
畑はCombrousse(コンブルース)と呼ばれる場所にあり、コンブとは谷、ルースとはこの地方の木を意味している。その名の通り谷間に位置しているため、その谷間に沿って地中海から海風が吹き上げ、午後の暑さが緩和される。そしてまわりの山で太陽が早く隠れることと、標高の高い斜面に位置していることから、夜も比較的涼しく、ブドウはきれいな酸を残したまま熟すことができる。
また海風のおかげで湿度が下がるため、病気が発生しにくい。そのためここでは腐敗菌はほとんど見られない。
一切耕さないし、雑草を刈り込むこともしない。ほとんど介入しない自然栽培。雑草は6月頃の暑さで自然に弱っていくので、刈り込む必要がないという考え。一部でビオディナミ農法も取り入れているが、認定上はエコセールの有機栽培。
小石や砂利を多く含む粘土石灰質土壌。表面の土は非常に薄く、すぐ石灰質の岩盤に突き当たる。その岩盤には断層の動きなどによって生じた亀裂が多数あり、そこにブドウ樹の強い根っこが入り込むように伸びていってミネラルをしっかり吸い上げてくる。また亀裂に沿って雨水が浸み込み、石灰岩が融解してカルスト状になったり陥没しているところも多く見られる。
その石灰岩にも、苦灰石質のものや小さなプレート状のもの、貝殻からできているものなど、様々な年代の違った種類があり、さらに複雑な風味をワインに与えている。
ルデ家は代々ブドウ栽培に従事してきたが、1980年代初頭、ポールの父アランがそれまで所有してきた畑をすべて売却し、今の土地を新たに購入。それまでガリッグ(野生の香草)が生い茂り、羊が飼われていたところをブドウ畑に開墾した。
その際、テロワールを最大限に活かし差別化することを考えると、すべて白ブドウを植えるという決断に至った。そのため今も白ワインだけを生産し、全精力を傾けている。
ポールは言う。「ラングドックでも他の地方でも、メインは赤ワイン。白ワインは序列的には赤ワインの次という蔵がほとんど。でも自分は違う。白しか造らないから、すべての情熱を白ワインに注ぐことができるんだ。」 確かにポールのワインはどのアイテムもミネラルたっぷり。まさしく「旨み」がギュッと詰まっている。
できる限り介入しない。培養酵母は添加せず、天然酵母による自然醗酵。酸化防止剤も最低限必要な分しか使わない。樽も使用せず、タンクで醗酵・熟成を行う。
選果しながら手摘みで収穫。
糖も酸も凝縮させたブドウを造りたいと考えているため、出来る限り遅く収穫する。
通常なら収穫を遅らせばそれだけ酸は減ってしまうが、収穫量を非常に厳しく制限していることと、優れたテロワールとミクロクリマ(=微気候)のおかげで、糖と酸の両方を兼ね備えたブドウを作っている。
ゾウに乗ったハンニバルが、ワイナリーのすぐ近くの街にやって来て泊まったことがあるという伝説にちなんで、ラベルにはゾウの絵が描かれている。その街は当時はごく小さな村でしかなかったが、水源が豊富だったため、ゾウが過ごすのに好都合だったと考えられる。
ゾウはハンニバルの出身地である北アフリカには多く生息していたが、地中海より北側の人々には完全に未知のもので、見たこともない巨大な動物に当時の人たちは恐れおののいたという逸話が残っている。
ミシュラン星付きレストランでもオンリスト