ラングドック地方
北部に位置し、周囲を小高い山で囲まれた、比較的冷涼な土地。 サン・シニアン村は、昔から川沿いの低地の畑(粘土質)で量産している農家が多い。作業がしにくい山の上の岩だらけの斜面でブドウを栽培するのは、難しいと言われていた。
総畑面積:24ha (ブドウ20ha、オリーブ4ha)
平均樹齢:17年
植え付け密度:3,600~5,000本/ha
総ワイン生産量:90,000本/年
剪定方式:コルドン・ロワイヤ及びゴブレ方式
AOC Saint-Chinian (AOC サン・シニアン)
Syrah (シラー) が約70%を占める。
他に、Grenache (グルナッシュ) Mourvèdre (ムールヴェードル) Cinasut (サンソー) など。
標高が高いため、ラングドック地方にあっても比較的冷涼な気候。「タラモンターニュ」と呼ばれる山からの吹きおろしの風が病気から守り、ブドウに上品な酸を与えている。
AOCサン・シニアンの土壌は、中央を流れる川によって、粘土石灰質とシスト土壌に、ほぼ2等分される。ドメーヌ・ムリニエでは、その両側に畑を所有しており、それぞれに分けてワインを造っている。
また、グレと呼ばれる小石混じりの赤い土壌が、1~2%のみ存在する。そこにも畑を所有しており、シスト土壌に似たワインができる。
土中には太古の地層が広がり、恐竜の卵や骨、原人の石器や土器など、多くの化石が発掘されている。
標高200~300m。畑はガリッグに囲まれており、ワインにもその香りが現れている。
極力農薬を使わない“リュット・レゾネ”を実践していた。ボルドーのグラン・クリュ並に1株に6つだけ芽を残し、驚異の低収穫量で見事な凝縮度を実現。 毎年冬には、酸素を送り込み微生物の活性化を助けるため、また除草のために畑を耕している。施肥は必要に応じて植物原料の有機肥料のみ使用する。
2020年ヴィンテージより、全てのブドウ畑とオリーブ畑で有機栽培を実施。(公式のワインの認証マークは、2023年ヴィンテージからの予定。)
すべて手摘み
ムリニエ家は、代々ブドウ栽培を行ってきた。現オーナーの父、ギィ・ムリニエ氏も地元サン・シニアン村の生まれだが、一時期ローヌ地方に住み、「コート・ロティ」など、シラー主体のワインに魅せられた。
サン・シニアン村に戻ってから、8haの畑でブドウ作りに励む傍ら、似たような条件の土地を探した。そして1980年、当時まだ岩だらけの斜面だったところを、「ブドウ作りに適する」と信じて購入。そこにサン・シニアン村で初めてとなるシラーを植えた。
また、1992年までは作ったブドウを農協に納めていたが、1993年からワイン造りを始めた。醸造元ビン詰めを、サン・シニアン村で初めて実現したのも、ギィ氏であった。
今や世界中から評価される蔵元となり、地元でもヒーロー的存在となっている。
現在栽培・醸造は、主に次男のステファン氏が担当している。
★「世界のシラーコンクール」で、「レ・テラス・グリエ1999」が2位、「レ・テラス・グリエ2000」が3位に選ばれる!
★2002年11月7日にメッツで開催された試飲会で“世界の偉大なシラー”に選ばれる。リストアップされたワインは全て世界最高レベルのものばかり。「Chave,Guigal,そしてChapoutierに勝るとも劣らないワイン」との評価を見事獲得。
★「1997年ベネルクス3国・テイスティングコンクール」でグランプリ受賞。4,000本の中で№1!
★「ラングドックのシラーの本質そのものだ!」(スティーヴン・タンザー / 1996年)
★「ラングドック・ルーションにおいて、誰もが認める屈指の生産者ギィ・ムリニエ氏に心より賞賛を送る」(ロバート・パーカー / 1996年)
しかし近年は、コンクールやガイドブックには出品していない。公的評価により、良い作柄の年だけ大量に買われることに、違和感を感じたからである。どんな年にでも自分たちは最大限を尽くしている。世間の公的評価に翻弄されるのではなく、その姿勢を理解してくれる人に、飲んでもらいたいと思っている。